今年のトヨタ労組の春闘要求と回答ってどうなってるんだろう?
これまでの春闘結果も知りたいな!
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- 今年のトヨタ労組の春闘要求とその回答結果
- 過去10年間における春闘賃上げの推移と背景
- そもそもトヨタ労組ってどんな組織?
✅本記事の信頼性
目次
トヨタ労組(トヨタ自動車労働組合)について
トヨタ労組ってテレビでも有名だけど、どんな組織なのかな?
組織規模や組織体制について確認してみましょう!
~トヨタ自動車労働組合について~
- 結成:1946年(トヨタ自動車コロモ労働組合)
- 組織体制(59期前期):執行委員長1名、副執行委員長2名、書記長1名
- 4つの局:企画総務局、労働政策局、社会政策局、職場活動局
- 支部数:23支部
- 組合員数:約7万人
~特記~
- KABANETという独自のトヨタ労組サイトがあり、組合員専用のポータルサイトからは、イベント告知や施設のポータルサイトなどの情報を得られる。
- カバハウスという組合員や一般の方も利用できる組合会館がある。大型イベントホールやレストラン、スポーツジム、プールなども併設
23支部もあると、まとめるのも大変だろうね
合同執行委員会とかどれだけ人が集まるんでしょうね(汗)
トヨタ労組さんの本拠地である「カバハウス」については、以下の記事にまとめております。
福利厚生も充実しており参考になりますので、よかったら併せてお読みください!👇
トヨタ労組の10年間 賃上げ要求額と回答について
それではここから、これまでの春闘における背景や賃上げ要求額と回答について確認していきましょう!
2014春闘「デフレ脱却」
~当時の背景~
- 円安(当時1ドル=105円)による業績回復や安倍政権の強い賃上げ要請があった
- リーマン・ショック前の08年春闘以来6年ぶりのベースアップ回答が相次いだ
- トヨタ株価:2014年1月終値 1,184円
労組:平均4,000円のベースアップを要求
企業:平均2,700円の回答
リーマンショック以降、やっと回復してきた年ですね、2012年には株価466円の時期もありました。
満額回答ではありませんでしたが、賃上げを勝ち取りました。
2015春闘「経済の好循環」
~当時の背景~
- 政府の積極的な賃上げ要求が継続
- トヨタ株価:2015年1月終値 1,529円(昨年比:345円↑)
労組:平均6,000円のベースアップを要求
企業:平均4,000円の回答
ベアは要求の6,000円には及ばなかったものの、昨年を上回る回答を勝ち取りました。
また、賃金制度維持分とし7,300円満額回答、年間一時金は満額の6.8か月分(約246万円)となりました。
この年は春闘の決着も15日間早めたことで、他社に対して賃上げムードのリード役を担ったようです。
2016春闘「賃金格差是正」
~当時の背景~
- 年初来の円高(121円/ドル)となり、逆風状態
- トヨタ株価:2016年1月終値 1,440円(昨年比:89円↓)
労組:平均3,000円のベースアップを要求
企業:平均1,500円の回答
ベアは要求の半分の回答となってしまった。
業績としては過去最高を更新だが、グループ内での賃金格差是正のためベアは抑制されたようです。
ただし、業績に左右される年間一時金については、昨年実績を上回る257万円でした。
ベアは調整されたようですが、一時金はしっかり昨年を超えてくるあたり、さすがといったところですね(; ・`д・´)
トヨタ労組さんの一時金は業績連動型ではなく、都度交渉なのでしょうかね?
2017春闘「円高進行と政府要請」
~当時の背景~
- 継続して政府が産業界に賃金改善の取り組みを促す
- 円高が昨年より9円進み112円/ドルとなった
- 自動車メーカー各4社とも円高による業績への影響が避けられないが、4年連続でベア実施
- トヨタ株価:2017年1月終値 1,316円(昨年比:124円↓)
労組:平均3,000円のベースアップを要求
企業:平均2,400円の回答
円高による業績への影響がある中、昨年を1,500円上回る回答であった。
しかし、全ての組合員が該当する部分では1,300円ベアとなり昨年を下回った。
円高の影響は凄まじいのかもしれませんね(; ・`д・´)
この年の春闘は政府の要請に答えた賃上げということでしょうね。
2018春闘「3%以上」
~当時の背景~
- 政府が経済界に「3%以上」の賃上げを求める
- 円高がさらに3円進み109円/ドルとなった
- トヨタ株価:2018年1月終値 1,496円(昨年比:180円↑)
労組:平均3,000円のベースアップを要求
企業:平均1万1,700円の回答(ベア+定期昇給+その他手当等)
ベアは昨年の1,300円を超えた回答だったようです。
円高が進み苦しい状況の中、政府要請の3%以上となる3.3%の賃上げとなりました。
トヨタはやはり他を牽引する存在ですので、政府要請には答える必要があったんでしょうね(;´・ω・)
ただ、具体的な金額を公表しないのは、すでに翌年への布石があったのでしょうか(; ・`д・´)
2019春闘「産業内格差是正」
~当時の背景~
- 自動車メーカー各社ベースアップは6年連続だが、ベア額は昨年を下回る回答が相次ぐ
- トヨタ自動車が産業内での格差是正の一助としてベアの要求額を非公表とした。
- トヨタ株価:2019年1月終値 1,335円(昨年比:161円↓)
労組:平均12,000円賃上げ要求(ベア+定期昇給+その他手当等)
企業:平均10,700円の回答(ベア+定期昇給+その他手当等)
この年から、トヨタ労組はベア要求額を非公開としたようです。
回答については昨年から非公開でした。
トヨタのベア額は後に続く企業の目安になっていたので、他社の賃上げ抑制にも繋がっていたようです(;´・ω・)
※2024年8月4日 この年の労使協議会について豊田章男氏よりトヨタイムズにコメントがありました。以下の記事にまとめていますので、是非ご覧ください!👇
2020春闘「変革期」
~当時の背景~
- コロナ禍の始まり
- 自動車産業は100年に1度の変革期
- トヨタ株価:2020年1月終値 1,530円(昨年比:195円↑)
労組:平均11,000円賃上げ要求(ベア+定期昇給+その他手当等)
企業:平均8,600円の回答(定期昇給+その他手当等、ベアはゼロ)
賃上げこそしたものの、ベアは7年ぶりのゼロ回答でした。
この時はまだ、コロナ禍の影響は考慮されていないようです。
背景にあるのは、自動車産業で「100年に1度」ともいわれる変革期に対するトヨタの危機感とのこと。
EV(電気自動車)の台頭によるテスラや中国の脅威などがすでに分かっていたのかもしれませんね(;´・ω・)
当時の豊田章男社長は「高い水準の賃金を、このまま上げ続けることは競争力を失うことになる。もうひとつ。自動車産業を支えている多くの仲間に『トヨタと一緒に闘いたい』と思ってもらえる会社にしなければならない」と労組に語ったようです。
それだけ危機感を感じ取っていたのでしょうね。
ただ、年間一時金については6.5か月分の要求に満額回答が示され、昨年の6.7か月を若干下回るものの、さすがトヨタさんといったところでしょうか。
2021春闘「コロナ禍とカーボンニュートラル」
~当時の背景~
- コロナ禍中
- トヨタ株価:2021年1月終値 1,460円(昨年比:70円↓)
労組:平均9,200円賃上げ要求(ベア+定期昇給+その他手当等)
企業:平均9,200円の満額回答(ベア?+定期昇給+その他手当等)
賃上げ及び一時金に対し、どちらも満額回答だったようです。
ベアが含まれるかどうかも非公開でした。
一時金はコロナ禍の影響もあり、昨年より若干減となりました。
今はCMで何度も聞く「カーボンニュートラル」についても社長から労使一体となって取り組むと言及されたようです。
新たな時代へ踏み出しているといったタイミングですね。
2022春闘「トヨタ労組動く」
~当時の背景~
- コロナ禍中
- ウクライナへのロシア進行開始
- 円安に進み115円/ドル
- トヨタ株価:2022年1月終値 2,245円(昨年比:785円↑)
労組:12種類の職種職位別(昨年と同水準、ベア+定期昇給等)
総合職主任4,900円、基幹職3級1,600円 など
企業:満額回答(ベア?+定期昇給+その他手当等)
この年は職種職位別というものを採用され、12種類の職種職位別に賃上げ要求をされたようです。
これはまさに課題解決型の最上位にあたる要求方法ではないでしょうか!
私の労組であれば平均で要求し、特にこの年齢層を手厚くしたいと要望する程度で、結局配分は会社によるところになってしまいますが、この要求方法が可能なら、細かい配分で求めていくことが可能ですね!
個々の賃上げ額がわかりにくいといった意見も反映された結果のようです。
ただ、この方法での一番のデメリットは、トヨタ労組さんの負担が激増!?することではないのかなと(;´Д`)
12種類分の賃上げ要求額とその根拠を準備する必要がありますからね…
しかし!1回目の労使交渉ですでに満額回答の意向を示されたとのこと(; ・`д・´)
きっともの凄い努力をされたのではないでしょうか。
また、2018年にベアを非公開にしてから約4年が経過しましたが、平均で約80社のグループ企業が賃上げ水準でトヨタ本体を上回ったそうです!
それまでは20社程度であったことから、日本を牽引してきたトヨタが逆に各社の賃上げを抑制する形になってしまっていたことが分かった形ですね。
2023春闘「インフレ開始」
~当時の背景~
- 物価高が騒がれ始め、政府よりインフレ率を超える賃上げの要請
- 連合が5%程度の賃上げ実現を要請
- 昨年より21円円安に進み136円/ドル
- トヨタ株価:2023年1月終値 1,896円(昨年比:349円↓)
労組:15種類の職種職位別(昨年と同水準、ベア+定期昇給等)
最も高くて9,370円
企業:満額回答(ベア?+定期昇給+その他手当等)
昨年に引き続き、トヨタ労組は職種職位別で賃上げ要求をされました。
しかもこの年は3パターン追加の15種類です!(大変だぁ~(;´Д`)
ただ、この年も初回の交渉で満額回答されたようで、それだけの準備を行ってきたトヨタ労組さんの凄さといったところですね。
また、能力主義が謳われる昨今、社員の挑戦を評価する人事制度が新たに新設されたようです。
他をリードする人事制度改定を積極的に行うところも、私の労組も見習うべきポイントかなと思います。
※2024年8月4日 この年の労使協議会についても豊田章男氏よりトヨタイムズにコメントがありました。以下の記事にまとめていますので、是非ご覧ください!👇
2024春闘「昨年を上回る賃上げ」
~当時の背景~
- 政府より昨年を上回る賃上げの要請
- 連合が5%以上の賃上げ実現を要請
- 昨年より10円円安に進み146円/ドル
- トヨタ株価:2024年1月終値 3,000円(昨年比:1,104円↑)
労組:職種職位別(昨年と同水準、ベア+定期昇給等)
最も高くて28,440円(昨年より+19,070円)
企業:満額回答(ベア?+定期昇給+その他手当等)
トヨタ労組は昨年に引き続き職種職位別で賃上げを要求しました。
その最高額は、月額2万8,440円!
2022年後半から円安が進み、毎年過去最高益を記録していたことも、これだけ強気に出れる背景であったのではないでしょうか。
また、ニュースでも何度も取り上げられておりますが、株価がバブルの頃と違い、企業の実力に見合った株価に上昇してきており、それだけの実力が備わったからこそとも考えられます。
2024春闘については以下の記事でも紹介していますので、ぜひ併せてごらんください↓
2025春闘「???」
2025春闘については、《2025春闘》”トヨタ労組”5年連続満額回答なるか?賃上げ目標と結果をチェック!にてまとめておりますので、ぜひご覧ください👇
まとめ:次年度も頑張って!
今回の記事では、日本をリードするトヨタ自動車労働組合さんに注目してこれまでの10年間を振り返りました。
各年度での要求額と回答額をまとめると以下の通りです。
年度 | 要求額(平均) | 回答(平均) |
2014 | 4,000円 | 2,700円 |
2015 | 6,000円 | 4,000円 |
2016 | 3,000円 | 1,500円 |
2017 | 3,000円 | 2,400円 |
2018 | 3,000円 | 11,700円 (ベア+定昇+その他手当含む) |
2019 | 12,000円 (ベア+定昇+その他手当含む) | 10,700円 (ベア+定昇+その他手当含む) |
2020 | 11,000円 (ベア+定昇+その他手当含む) | 8,600円 (定昇+その他手当含む、ベア無し) |
2021 | 9,200円 (ベア+定昇+その他手当含む) | 9,200円 (ベア?+定昇+その他手当含む) |
2022 | 12種類の職種職位別 | 満額回答 (ベア?+定昇+その他手当含む) |
2023 | 15種類の職種職位別 (最高で9,370円) | 満額回答 (ベア?+定昇+その他手当含む) |
2024 | 職種職位別 (最高で28,440円) | 満額回答 (ベア?+定昇+その他手当含む) |
2025 | ??? | ??? |
最後までお読み頂きありがとうございました!
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