組合員から「作業服に着替えている時間も勤怠つけちゃダメなんですか?」って聞かれたけど、実際のところはどうなんですか?
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- 作業服に着替えている時間も勤怠つけちゃダメなの?
- 判例学説によると「準備行為等(作業服への着替え…)は労働時間に含める」となっている。
私の会社では「更衣室での着替えは労働時間に含まない」と解釈されている。- 私の会社では「更衣室での着替え時間はみなし時間」として勤務時間に含まれている。
- 結局のところ、あなたの会社の労使次第
✅本記事の信頼性
労働時間とは?
まず「労働時間」とはどんな時間を指すのか、法律から確認しましょう。
労働時間については、”労働基準法 第32条”に以下のように定められています。
第32条(労働時間)
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2.使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
え?これだけ?
そうなんです。
法律上は具体的な労働時間の定義について定めていないんです。
その後、三菱重工長崎造船所事件(H12.3.9)の最高裁判決を受け、労働時間が定義されました。
労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」であると。
その後、この「指揮命令下に置かれている時間」の考えのもと、様々な事件での裁判判決により、現在の労働時間の考え方が構築されてきました。
通説による判断は?
前項であった様々な事件での判決により、「作業服に着替えている時間」は以下のような通説※として考えられています。
本来業務の準備行為等(作業服・工具等の脱着や準備体操、作業場の清掃など)で使用者から事業所内で当該行為をおこなうことを義務付けられまたは余儀なくされている場合には、使用者の指揮命令下に置かれているものとして労働時間に含めるとする。(H12.3.9 三菱重工長崎造船事件最高裁判決)
よって「作業服に着替える時間は労働時間に含まれる」ということになります。
※通説:世間一般に通用している説
私の会社の場合
さて、前項で「作業服に着替えている時間は労働時間に含まれる」ということが通説と説明しましたが、あなたの会社ではどうでしょうか?
私は工場勤務ですが、私の知る限り、作業服に着替える時間を労働時間にカウントしている企業をあまり聞いたことがありません。
あくまで私の憶測ですが、大多数がそうなのではないでしょうか?
ちなみに私の会社でも「作業服に着替えている時間は労働時間に含むのか?」労使で検討されました。
結果、就業規則に「作業態勢の整備後に始業開始とする」のような文言があり、この解釈により、作業服に着替えている時間は作業態勢の整備中となり、労働時間に含まないとなりました。
ここでの作業準備とは、作業着への着替えや、デスクワークの方においてはパソコンの立ち上げになります。
「更衣室での着替え時間」及び「職場までの移動時間」は労働時間となり、みなし時間として勤務時間に含まれるようになりました。
これまで散々グレー扱いされてきた着替え時間が労働時間としてしっかり認められるのは、本当に時代が労働者よりに変わってきた印象を受けましたね!
認めた場合に考えるべきこと
僕の会社では着替えの時間は労働時間に認められてないから、
通説通りなら会社に意見すれば認めてもらえるのかな?
そうですね、意見として出すことは何ら問題はありませんよ。
ただし、会社に対してその訴えをする場合は、それなりの準備が必要と考えますね。
着替える時間が労働時間として認められていない場合、意見として認めてもらうことを訴えることは可能と考えます。
ただし、会社(使用者)は労働者の労働時間について正確に把握することが義務づけられています。(労基法108条、労期則54条)
よって、更衣室で着替えている時間も労働時間として認めるならば、その時間を正確に把握することが必要になります。
ちなみに私の会社では、
- 工場のセキュリティゲートをくぐった時間
- パソコンのログイン時間(デスクワークのみ)
- タイムカード(一部の方のみ)
- スマホやパソコンでの勤怠入力(自己管理)
など様々な方法で労働者の労働時間を管理しており、これに更衣室での着替えを含めるとなれば、どこまで勤怠管理が厳しくなるのか想像もつきません(;´・ω・)
また、更衣室にはお風呂や簡易的なジムも併設されており、これらを使用していた時間はどう管理するべきか悩ましいところではあります。
意見すること自体は全く問題ありませんが、労使で検討を進める以上、これら問題に対し、さらに解決策となる意見を合わせて頂けると非常に助かります。
まとめ:あなたのご意見待ってます!
今回の記事では、「着替えは労働時間に含まれるのか?」について、私の会社事例も踏まえ解説させて頂きました。
通説では認められていますが、「会社による」といったところがご理解頂けたかと思います。
ちなみに、これら知識は「ワークルール検定」という検定試験を勉強する上で身に着けられる知識となっています。
年2回試験がありますので、ぜひご検討ください!
コメント