アメリカはストライキも多いし、組合活動も活発なのかな?
賃金もだいぶ違うし、日本と何が違うの?
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- アメリカと日本の労働組合の違い
- ①ストライキ ②組織率 ③組織形態 ④歴史
ニュースを見るとアメリカは日本と違って声を上げる人が多いイメージですよね!
ストライキであったりデモ行進であったりとにかく主張が多いアメリカ!
ニュースでは報道されませんが、きっと組合活動の影響も多い!?
そんなアメリカと日本の労働組合の違いについてまとめてみました!
✅本記事の信頼性
アメリカの労働組合・・・とりあえず強そうですよね(笑)
☆ストライキの件数と考え方の違い
まず、最もニュースでも目にするストライキについての違いです。
件数や考え方についてまとめました。
アメリカのストライキについて
- ストライキは比較的頻発に発生
- 2018年には全米で過去最多の48万5200人がストライキに参加
- 2016年のストライキによる労働損失日数は1,543日
- 理由は主に「賃金と労働条件の改善」
- アメリカ人は「今を犠牲にしても、未来のためならやるべし」という考え
日本のストライキについて
- 1970年代以降、ストライキの件数が減少
- 2016年のストライキによる労働損失日数は3日
- 安定した労使関係が増えていった一方、企業の生産性は上がってこない
- 日本人は「迷惑をかけるな精神」を強く持ち、目の前の人に配慮し、将来のための行動を控えることが多い。
- 「自己主張」=「自己中」という意識が強く、ストライキを避ける傾向
となっています。
アメリカは「未来」、日本は「現状」を優先して行動するようです。
日本でもストライキ自体は起きており、2023年8月に大手百貨店そごう・西武池袋本店で決行されたストライキはニュースにもなりましたが、これは1962年以来、61年ぶりの大手百貨店でのストライキだったとのことです。
ストライキ自体は日本の「労働三権」にて定められている権利ですので、詳しくは以下の記事をご確認ください。
☆組織率の違い
次に組織率について比較してみます。
組織率とは、「全国の雇用者数のうち労働組合に加盟している”組合員の割合”」になります。
アメリカの組織率について
- 米国労働省が発表した2022年の労働組合組織率は10.1%(前年10.3%)で、1983年以降で最低
- 組合加入数は前年から27万3000人増加したが、それ以上に分母の雇用者数が530万人増加したため、組織率自体は前年から減少した。
日本の組織率について
- 厚生労働省が発表した2023年の労働組合組織率は16.3%(前年16.5%)で過去最低
- 組合加入数は前年から5万4719人減少し、雇用者数が61万人増加したため、組織率も前年から減少した。
となっています。
アメリカも日本も組織率は年々減少していますが、アメリカは労働者の増加、日本は組合加入者数の減少が、大きな要因となっているようです。
組合に加入することへのメリット・デメリットについてや、組合加入が必須となるユニオン・ショップ条項については、以下の記事でも紹介しています。
ぜひ、併せてお読みいただければと思います。
☆組織形態の違い
次に労働組合の組織形態の違いについて比較してみます。
組織形態とは、労働組合がどのような枠組みで組織されているかというものです。
労働組合の組織形態は3層構造とよばれ、大きく以下の3種類に分けられます。
~企業別労働組合~
・企業ごとに組織される労働組合で、その企業の労働者が対象。企業内での労働条件改善や団体交渉を行う。
~産業別労働組合~
・同一産業に属する労働者を対象。職種の違いを問わず、産業全体の労働条件の改善を目指す。
~職種別労働組合~
・特定の職種の労働者を対象。職能組合とも呼ばれ、職種ごとに労働条件改善を目指す。
日本においては、大部分の労働組合が「企業別組合」の形態をとっており、各企業の実情に応じた労使交渉が行われる傾向があります。
アメリカにおいては、多くが「産業別組合」の形態をとっており、団体交渉の対象となる従業員のうち、過半数が労働組合に交渉を委ねるという
意思表示があって初めて企業側に団体交渉を受ける義務が発生します。
日本は対企業に対して、アメリカは対産業であるため、賃上げなどを求める時も大規模な要求となるということですね!
労働組合の三層構造については以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてお読みいただければ、より深く理解することができますよ!
☆歴史の違い
最後に労働組合の歴史について比較してみます。
アメリカの労働組合の歴史
- アメリカでは、1886年に初の全国的な労働組合組織である「アメリカ労働総同盟(AFL)」が誕生しました。
- 労働者の団結権と団体交渉権は、1935年制定の「ワグナー法」によって明確に認められました。
- 同時に組合員の範囲や政治的立場の違いから組合運動の分裂も生じ、AFLから分離した「産業別組織会議 (CIO)」が結成されます。
- 第二次世界大戦後には、冷戦下での反社会的風潮や、賃上げを要求するストライキが多発し、労働組合の規制が強化されました。
- 現在アメリカの労働組合の組織率は低下しており、労働者の権利を守るための動きが再び注目されています。
日本の労働組合の歴史
- 日本の労働組合は、19世紀後半の急速な工業化に始まります。
- 昭和の時代には労働組合が非常に強力で、労働者の権利を守り、ストライキなどの運動を行っていました。
- 現在の日本の労働組合は、企業別組合の形態をとっており、各企業ごとに労働者が組織されています。
- 一方で、フリーランスやギグワーカーなど、特定の企業に限定されない新しい働き方が広まるに伴い、労働環境に関する問題も浮上しています。
アメリカは歴史的に労働組合が規制強化されていることが、大きな組織率低下を招く要因になってますが、現在は再び労働組合が注目されてきているようです。
日本は働き方の多様化もありますが、雇用の安定により企業との対立路線から協調路線であることが主流となっていて、これが交渉が出ているのかもしれません。
まとめ:歴史が違えば文化も違いますね!
今回の記事では、アメリカと日本の労働組合の違いについて比較させていただきました。
やはり大きな違いは、組織形態の違いでしょうか。
アメリカの産業別の場合は規模と対象者の範囲が非常に大きいため、賃上げを求めるにしても、大規模の改善となるのでしょう。
対して日本は企業別のため、企業との協調路線から強く要求することもできないのかなと考えます。
ただし、今後物価高に対する賃上げが思うように進まなかった場合は、日本においても新しい動きが出てくるのかもしれませんね!
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