今年のNTT労組の春闘要求と回答ってどうなってるんだろう?
これまでの春闘結果も知りたいな!
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- 今年のNTT労組の春闘要求とその回答結果
- 過去10年間における春闘賃上げの推移と背景
- そもそもNTT労組ってどんな組織だろう?
✅本記事の信頼性
目次
NTT労組(NTT労働組合)について
NTT労組って大きい組織のイメージだけど、どんな組織なのかな?
組織規模や組織体制について確認してみましょう!
~NTT労働組合について~
- 結成:1950年 全国電気通信従業員組合(全電通)
- 基本理念:次代を創る(Create The New Wave)
- 組織構成:5つのNTTグループ企業別本部及び組合員の生活を支えるために設立された関連組織、団体で構成(6つの本部)
- 組合員数:約14万人
~特記~
- NTT労働組合独自の組合員向けサイトがあり、定期大会「議案」などの情報を得られる。
- 御茶ノ水駅から徒歩5分の場所に全電通労働会館という、NTT労働組合本部ビルがあり、大型イベントホールや会議室などが併設、一般の方も利用でき、過去にはアニメ・声優イベントなども開催
- NTT労組独自の歌「波よ輝け」がある。※補作詞として「この木なんの木、ラムのラブソング、カメハメハ大王」などを作詞した伊藤アキラさんが参加している。
- 上部団体である情報労連・NTT労組と契約している61名の弁護士が全国各地に配置されていて、無料で相談することができる。
本部が6つあって、組合員が14万人もいるなんて、とんでもないや・・
トヨタ労組さんでさえ7万人でしたから、約2倍ですね!
NTT労組の10年間 賃上げ要求額と回答について
それではここから、これまでの春闘における背景や賃上げ要求額と回答について確認していきましょう!
2014春闘「スト権の確立」
~当時の背景~
- 円安(当時1ドル=105円)による業績回復や安倍政権の強い賃上げ要請があった
- リーマン・ショック前の08年春闘以来6年ぶりのベースアップ回答が相次いだ
- NTT株価:2014年1月終値 55.6円
労組:平均3,000円のベースアップを要求
企業:平均1,600円の回答
リーマンショック以降、やっと回復してきた年になります。
2014春闘でNTT労組はストライキ権の確立を含む闘争体制で臨んでいたようです。
※ストライキ権の確立とは、権利自体は法律で保障されていますが、実行するためには「組合員の○分の○以上の賛成が必要」などのルールがあり、これを実行するのが確立と呼ばれます。
低迷時期が長かった分、本気で求めに行った年ということですね(; ・`д・´)
満額回答ではありませんでしたが、賃上げを勝ち取りました。
※ただし、全員対象は700円であり、残りの900円は子育て応援として扶養手当引き上げへ
また、特別手当(一時金)については各本部ごとに要求額が異なり、平均で約152万円で妥結されたようです。
2015春闘「スト権の確立実行」
~当時の背景~
- 政府の積極的な賃上げ要求が継続
- 連合がベースアップ2%以上を方針とした
- NTT株価:2015年1月終値 70.2円(昨年比:14.6円↑)
労組:平均6,000円のベースアップを要求
企業:平均2,400円の回答
ベアは要求の6,000円には及ばなかったものの、昨年を上回る回答を勝ち取りました。
この年は、「スト権の確立を実施」してから交渉に臨んだようですので、要求額の半分にも満たない改善額は残念であったでしょうね(;´・ω・)
会社側としては、「社会的な要請は認識しているが、増収減益の中ではまず事業基盤の確立が重要」とのこと。
内訳は、平均一人当たり700円の昇給+成果手当改定1,500円+扶養手当改定200円で合計2,400円でした。
2016春闘「高齢者と契約社員」
~当時の背景~
- 年初来の円高(121円/ドル)となる。
- NTT株価:2016年1月終値 100.5円(昨年比:30.3円↑)
労組:平均4,000円のベースアップを要求
企業:平均1,600円の回答(基準内700円、成果手当900円)
NTT労組はこの年、正社員だけでなく60歳を超えた継続雇用の月給制社員と契約社員にについても1人平均4,000円の賃金改善を求めました。
その結果、60歳超の継続雇用の方は1,100円、契約社員の方もリーダー的な役割の方に1,100円の賃金改善が行われました。
労組の規模が大きいと、賃上げの求め方も多岐にわたるのでしょうね。
また、特別手当(一時金)については昨年を上回る回答を得られたようです。
2017春闘「慎重」
~当時の背景~
- 継続して政府が産業界に賃金改善の取り組みを促す
- 円高が昨年より9円進み112円/ドルとなった
- NTT株価:2017年1月終値 99.5円(昨年比:1円↓)
労組:平均4,000円のベースアップを要求
企業:平均1,400円の回答
昨年の回答額を200円下回る結果となりました。
業績は良くなっているものの、長期的な影響の出る賃上げには慎重となり、一時金に反映する形となりました。
この年は、トヨタのベアも昨年を下回っているので、どこも慎重になっていたのかもしれませんね(;´・ω・)
2018春闘「3%以上」
~当時の背景~
- 政府が経済界に「3%以上」の賃上げを求める
- 円高がさらに3円進み109円/ドルとなった
- NTT株価:2018年1月終値 103.8円(昨年比:4.3円↑)
労組:平均4,000円のベースアップを要求
企業:平均1,800円の回答
政府の追い風もあり、昨春闘を400円超えた回答となりました。
ただ、要求額の半分にも満たない回答が続きますね(;´・ω・)
2019春闘「働く人の底上げ」
~当時の背景~
- 連合発表の平均賃上げ率2.13%
- NTT株価:2019年1月終値 93.4円(昨年比:10.4円↓)
労組:平均2%賃上げ要求(基準内賃金+成果手当)
企業:平均2,000円の回答
NTT労組はこの年、「すべての働く仲間の『底上げ』を意識し、賃金をはじめとする諸制度をトータルで捉えた労働条件改善に取り組む」と主張しました。
この年はトヨタ労組さんもベア要求額を非公開にしたこともあり、要求の仕方も各労組で変わってきた年なんでしょうね。回答も業界によって様々でした。
2020春闘「60歳以上のフルタイム雇用」
~当時の背景~
- コロナ禍の始まり
- NTT株価:2020年1月終値 111.4円(昨年比:18円↑)
労組:平均2%円賃上げ要求(基準内賃金及び成果手当)
企業:平均2,000円の回答(資格賃金700円、成果手当1,300円)
要求及び回答は昨年と同じでした。
おそらくこの年は、一緒に求めていた「60歳以上のフルタイム雇用への300万円以上の年収保障」をメインに交渉を進められていたのかもしれません。
議論は継続となり、その場で回答を得ることはできなかったようです。
2021春闘「コロナ禍」
~当時の背景~
- コロナ禍中
- NTT株価:2021年1月終値 104.7円(昨年比:6.7円↓)
労組:平均2%円賃上げ要求(基準内賃金及び成果手当)
企業:平均2,000円の回答
コロナ禍でもグループ全体での業績は堅調であったことで、前年と同じく平均2%の賃上げを求めたようです。
2022春闘「業績過去最高」
~当時の背景~
- コロナ禍中
- ウクライナへのロシア進行開始
- 円安に進み115円/ドル
- NTT株価:2022年1月終値 130.6円(昨年比:25.9円↑)
労組:平均2%円賃上げ要求(基準内賃金及び成果手当)
企業:平均2,200円の回答
ここまで4年連続で2%の賃金改善を行ってきたことで、今回改善した場合、月6800円の賃上げに相当するようです。
しかし、それを上回る平均2,200円の回答でしたね!
昨年に引き続きコロナ禍でも会社業績は過去最高でした。
みんな家にいたから、ネットを多用していましたもんね( *´艸`)
また会社側より、専門性を重視した賃金制度に改定すると提案があり、NTT労組は受け入れたようです。
新しい賃金制度では、職位や役職ではなく、専門性の程度で等級が決定する「グレード賃金」というものに1本化されます。
21年10月に管理職を対象にジョブ型制度が導入されているため、それを一般社員にも適応した形でしょうか。
私の労組でもジョブ型については賛否ありますが、時代の流れで採用する時が来るかもしれませんね(; ・`д・´)
2023春闘「生活防衛」
~当時の背景~
- 物価高が騒がれ始め、政府よりインフレ率を超える賃上げの要請
- 連合が5%程度の賃上げ実現を要請
- 昨年より21円円安に進み136円/ドル
- NTT株価:2023年1月終値 155.6円(昨年比:25円↑)
労組:平均2%の賃上げ要求+一時金10万円(生活防衛費)
企業:平均3,300円の回答(過去最高)
NTT労組はこの年、例年の賃上げ要求とは別に生活防衛費として10万円の一時金を求めました。この要求が通ると全体で4.6%の賃上げとなるようです(; ・`д・´)
結果的に、一時金の要求は通りませんでしたが、平均3,300円の賃上げ回答を得ることができました。
先を見据えると、一時的な賃金補助より良い結果となったのかもしれませんね( *´艸`)
2024春闘「昨年を上回る賃上げ」
~当時の背景~
- 政府より昨年を上回る賃上げの要請
- 連合が5%以上の賃上げ実現を要請
- 昨年より10円円安に進み146円/ドル
- NTT株価:2024年1月終値 186.3円(昨年比:30.7円↑)
労組:平均5%の賃上げ要求
企業:1万1000円(2.1%)
NTT労組は、物価高や業績が好調であることを踏まえ5%の賃上げを求めました。
会社業績は、24年3月期連結純利益を過去最高の1兆2550億円と見込まれています。
世間の賃上げムードと業績が伴っていたおかげで、要求する環境としてはベストでしたね( *´艸`)
ベア回答としては、1万1000円(2.1%)と要求5%に対して満額回答にはならなかったようですが、その他人材育成によるところの改定も含めると、改定率は7.3%となったようです。
(しかし、SNS等には不満の声も…私はNTT労組の組合員ではないためコメントは控えますが、まずはNTT労組役員の方々に同じ役員としてお疲れ様と伝えたいです。)
2024春闘については以下の記事でも紹介しています👇
2025春闘「???」
2025春闘については、《2025春闘》”NTT労組”今年こそ5%以上達成なるか?賃上げ目標と結果をチェック!にてまとめておりますので、ぜひご覧ください👇
まとめ:次年度も頑張って!
今回の記事では、日本最大級の労組組織であるNTT労働組合さんに注目して、今年や過去の春闘結果を振り返りました。
要求額と回答をまとめると以下の通りです。
年度 | 要求額(平均) | 回答(平均) |
2014 | 3,000円 | 1,600円 |
2015 | 6,000円 | 2,400円 |
2016 | 4,000円 | 1,600円 |
2017 | 4,000円 | 1,400円 |
2018 | 4,000円 | 1,800円 |
2019 | 平均2%賃上げ | 2,000円 |
2020 | 平均2%賃上げ | 2,000円 |
2021 | 平均2%賃上げ | 2,000円 |
2022 | 平均2%賃上げ | 2,200円 |
2023 | 平均2%賃上げ | 3,300円 |
2024 | 平均5%賃上げ | 11,000円 |
2025 | ??? | ??? |
最後までお読み頂きありがとうございました!
コメント
過去の扶養手当充当分は昨年の給与制度改悪で扶養手当消滅させてるからベアになってない
さわじゅーさん、情報ありがとうございます。もしかしたらジョブ型にシフトした一環なのでしょうか?その原資がグレード賃金に充当されていて、再配分されているならわかりますが…いずれにしろ、扶養手当は福利厚生なので、恩恵が一つ減ってしまったと考えられますね(;´・ω・)