春闘の意見集約で賃上げの意見と根拠を求められたんだけど、全然わからないよ…
とりあえず給料が増えてくれればいいんだけどなー
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- 春闘とは何か
- 賃上げは誰がどうやって決めているのか
- その根拠はどうやって決まるのか
まじめに仕事してたら急に春闘の意見集約が始まって、意見くださいできれば根拠もって言われてもわかりませんよね?
でもそれは、あなたの会社生活に大きく関わるかもしれませんよ?
本記事では、春闘とは何か?賃上げの求め方と必要となるその根拠の考え方について詳しく解説します!
✅本記事の信頼性
みんなお金は欲しい!そんな思いを叶えるのが賃上げですよ!
目次
☆春闘とは?
賃金、一時金(ボーナス)、諸制度などといった労働条件改善に向けた要求を掲げ、その実現に向けて会社側と交渉を行う場が春闘になります。
詳しい春闘の流れは以下の記事を参照ください↓
①:賃上げはなんで必要なの?
いわばこの答えが今回の記事の回答に繋がります。
お給料が増えるのと増えないのではどちらがいいですか?
直感的に考えたとき、増えないと答える人はまずいないでしょう!
では、その根拠は?と聞かれたらなんて答えますか?
物価高?生活が苦しいから?人員不足?いろいろ上がるかと思いますが、会社と交渉する際は、しっかりした裏付けの取れた根拠が必須となります!
②:賃上げ要求は最終的に誰が決めてるの?
私の労働組合は、大きく本部(専従)と支部(非専従)に分かれています。
*専従と非専従についてはこちら↓
最終的に決定しているのは本部と支部の役員ですが、
元を辿れば「組合員」の声(意見)になります!
③:組合員の声がどうやって要求案になるの?
組合員の声が要求案になるまでの流れは以下の記事をお読みください↓
☆賃上げ要求の金額とその根拠の求め方
ここからは、そもそも賃上げを要求するかしないか、要求する場合はその金額と根拠(裏付け)をどのように考えていくのかを詳しく解説していきます。
判断は以下①~⑦を考慮し総合的に考える必要があります。
①:前年度の春闘結果の振り返り
まず、今年度の春闘を考えるうえで必ず必須になることは、前年度の春闘結果がどうだったかです。
定期昇給は行われたのか?
ベースアップがいくら改善されたのか?
ボーナスは支給されたのか?
*ベースアップ:賃金テーブルの改定(対象範囲が一斉に上がる)
*定期昇給:賃金テーブルに沿った昇給
昨年要求した改善額が叶わなかったり、考えていた配分とならなかった場合は、継続して要求を求めることもできます。
また万が一、会社業績の急激な悪化や世間動向(コロナ危機など)などの影響を受け、それを理由に賃上げが行われなかった場合、今回改善していれば逆にそれを理由に求めることができます。
②:同業他社との賃金水準比較
これは組合員レベルでは情報が少ないので、なかなか難しいかもしれませんが、
あなたの労働組合が同業各社で構成される何かしらの連合に加入していた場合、賃金水準を比較できるような資料を手に入れている可能性があります。
私の労働組合の場合その資料には、以下のようなデータが掲載されており、連合内での自社の立ち位置を確認することができます。
・年齢とコースに応じた基本賃金の比較
・初任給の各社比較
・前年度の各社の春闘要求額とその結果
わかりやすい比較は、自社が連合内における平均賃金より上か下か。
平均を下回っており、業績も変わらないようであれば、賃上げを要求する根拠になります。
また初任給が平均より低いと、新入社員を獲得できなかったり、30~40代の賃金が低いと、優秀な人材を他社へ流出してしまう危険性へと繋がっていきます。
③:当社業績
賃上げについて意見集約していると、何も考えずベースアップ1万円!2万円!もらえるだけ!といった意見も集まってきます。
賃上げというのはあなたの賃金だけでなく、全組合員が対象です。
もしあなたの会社の組合員が1,000人いるとしましょう、月2万円のベースアップが達成されたら単純に月2千万円の会社負担増になります。
また、会社によっては管理職見習いというクラスがあり、管理職でありながら組合員である立場の方がいます。
この方は、もちろん組合員であるため労働組合の賃上げ対象です。
もしベースアップが達成された場合、この方も昇給となりますが、管理職見習いという立場から管理職の賃金と逆転現象が生じないよう、会社側も管理職全体の賃金改善を行います。
よって会社としては賃上げを行う際は、組合員だけでなく管理職の賃金が上がる負担まで考慮する必要があるということです。
賃上げを求める場合は、その影響額に対して会社体力が持つかどうかも検討する必要があります。
賃上げしたら会社潰れたでは話になりませんからね(; ・`д・´)
④:物価動向
以前は1パック98円で買えていた卵も今は200円前後が当たり前になりましたね(;´・ω・)(2024年2月現在)
こういった様々な物価を、対象とする年と比較してどの程度変化しているのか表したものを日銀が公表している「消費者物価指数」といいます。
公表内容としては、今現在の物価の動向や直近3年間の見通しも合わせて公表されます。
物価は私たちの生活に直結していますので、賃上げを要求する上での根拠となります。
ただし!物価が上がったからという理由のみで賃上げを求めた場合、物価が下がったら賃下げされる可能性もあるため、あくまでサブ的な根拠としましょう。
⑤:(参考)世界経済の状況
世界経済の状況は、賃上げの直接的な根拠とすることは難しいですが、例えばあなたの勤め先が原材料を必要とする会社であった場合、その原材料価格の見通しなどは会社業績に繋がるため、確認しておくと良いかもしれません。
⑥:(参考)政府施策
ニュースを見ていて、物価高対策や賃上げについて政府主導で力を入れているようであれば、世間的に賃上げを求めやすい雰囲気になっているはずです。
⑦:(参考)経団連
経団連は春闘の時期になると大手企業の目標となる値上げ率について公表しています。
あくまで目標値であるため、①~⑥までと合わせて総合的に判断しましょう。
☆具体的な要求金額や根拠の例
ここまでで、あなたなりの根拠で賃上げを求めるか求めないか、いくら求めるか判断できたかと思います。
ここで、私の組合での例を上げてみます。参考にしてみてください。
・組合員一人あたり平均6,000円/月の賃金改善を行うこと
・総合職、基幹職平均
・初任給、中間層を厚めに配分
まず改善を求める場合、平均か一律か考えます。
基本は課題解決型と呼ばれ、特定の年齢層に厚めに配分できるよう、平均で求めます。
今回の場合、優秀な人材確保と他社への人材流出防止のため、初任給と中間層を厚めに配分を求めました。
要求金額については、連合の同業他社に見劣りしない賃金を目指したときに必要となる改善額を算出(これは役員の仕事)
物価対策で政府目標程度の賃金改善額なども考慮しました。
その結果は・・・(; ・`д・´)
金額については満額回答6千円の改善を達成することができました!
しかし、配分については総合職の方が厚めに配分されることになりました。
会社としては、未来の優秀な管理職候補の獲得維持に力を入れたかったようです。
まとめ:とりあえず意見くれるだけでもうれしいよ!
いかがでしたでしょうか?
難しいと感じて、意見出すのメンドクサイ!と思った方もいるかと思います。
私も役員になる前はそうでしたので、よくわかります。( *´艸`)
ただ、だからといって何も出さないのはモッタイナイ!
あなたのお給料に関わることですから、わかる範囲でよいので意見頂ければと思います。
また、春闘については以下の記事でもまとめています。是非合わせてお読みください!
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