今度春闘の説明会ってのがあるんだけど…
よくわからないし、面倒だから参加したくないな~
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- 春闘ってなんだろう?
- なぜ説明会を行うの?
- 春闘全体の流れはどうなっているの?
春闘という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、いざ自分が関わろうとするには些か勇気がいるものです。
でもそれは、あなたの会社生活に大きく関わることですので、できたら興味を持って頂き、しっかり意見してもらえたら嬉しいです!
本記事では、春闘とは何か?要求案はどういう流れで決まっているのか、について詳しく解説します!
✅本記事の信頼性
組合にとって春闘はメインイベント!しっかり理解して頂けると嬉しいです。
春闘とは?
春闘とは、労働組合にとって1年で一番の大イベント!
(もちろん、疲弊も1番…)
賃金、一時金(ボーナス)、諸制度などといった労働条件改善に向けた要求を掲げ、その実現に向けて会社側と交渉を行います。
春闘はなんで必要なの?
たとえば、もっとお給料が欲しいな!とか。
もっと働きやすい勤務体系にならないかな!もっと休みが欲しいな!とか。
働いているとそういった要望がどんどん出てきますが、それを個人的に会社に言ったところで、対個人では相手にされません。
しかし、労働組合という組織は会社と対等であるため、そういった組合員の意見を吸い上げて、皆を代表して会社と交渉することができるのです。
交渉できるタイミングは内容によって様々ですが、「賃金」「一時金」「人事制度」など就業規則が変わっちゃうような大きな交渉のタイミングが、この春闘となります。
春闘で要求することって誰が決めてるの?
私の労組は、大きく本部(専従)と支部(非専従)に分かれています。
専従と非専従について知りたい方はこちら↓
最終的に決定しているのは本部と支部の役員ですが、元を辿れば「組合員」の声(意見)になります!
組合員の声がどうやって要求案になるの?
私の労働組合を例にすると、春闘が収束(交渉終了)するまでの流れは以下のようになっています。
10月以前:同業各社との情報交換、世間動向確認
10月初旬:第1回賃金協約部会
10月中~下旬:組合員から諸要求意見集約
11月上旬:第2回賃金協約部会
11月中旬:春闘基本方針 決定
11月下~12月中旬:基本方針に対しての組合員から意見集約
12月中旬:第3回賃金協約部会
12月下旬:中央執行委員会、合同執行委員会
1月中~下旬:職場説明会
2月上旬:中央委員会
2月中旬~:団体交渉(会社との交渉開始)
3月中旬:拡大交渉(会社との交渉2回目)
3月下旬:春闘収束(交渉終了)
という流れです。
春闘自体は1ヵ月半ぐらいですが、それまでの準備に約4.5ヵ月掛かっています!(; ・`д・´)
この中にある、10月と11月の意見集約が組合員の声を集めるタイミングになります。
春闘交渉が収束するまでの流れ
ここからは、節目でどのような話が進められ決定しているのか簡単に解説します。
10月以前:情報収集、世間動向確認
まず本部は、賃金改善案の土台作成のため、同業他社と情報交換を行い世間動向を確認します。
もしあなたの労働組合が同業各社で構成される何かしらの連合に加入していた場合は、その集まりがこれに当たります。
この連合では、極秘として各社の賃金水準や手当類などを比較し、ランキング及びグラフ化し、自分の会社が連合の中でどの位置にあたるのか確認することができます。
今後の交渉では、同業他社との水準がバックデータとして重要となるため、必須な情報となります。
ちなみに2023年度は、政府主導で賃金改善が推し進められていたため、非常に要求しやすい雰囲気でした。
10月初旬:第1回賃金協約部会
全ては、本部及び支部の書記長で構成された賃金協約部の会合から始まります。
賃金協約部というのは、「労働協約」「賃金」「労働条件」などに関する事項について、春闘要求の具体的な内容を協議する場になります。
この会合では、本部が事前に作成した資料をもとに、
・各人の役割の共有
・事前に入手した他労組の賃金水準、世間動向を確認
・諸要求に向けた組合員からの意見集約に対する合意形成の確認
・全体スケジュールの確認
を行っていきます。
10月中~下旬:組合員から諸要求意見集約
ここから組合員に対して意見集約が開始されます。
求める内容は主に、「賃上げを要求するかしないか」「要求する場合はその金額と根拠」「どんな諸要求が必要か」に関してです。
諸要求に関しては、人事制度や会社インフラ、各種手当など幅広い意見を募集します。
集まった意見は、支部の役員で構成された評議員会という場で、支部としての代表意見をまとめます。
諸要求に関しては、この時点で適さなかったり極少数と判断された意見は脱落となります。
11月上旬:第2回賃金協約部会
各支部の代表意見が出そろったタイミングで、第2回賃金協約部会が開催されます。
このタイミングでは、春闘基本方針の内容について合意形成を図ります。
春闘基本方針というのは、労働組合として賃上げを求めるか求めないか、一時金や諸要求に対しての考え方など、今回の春闘に対する方向性を組合員へ最初に提示するものになります。
この時点では、まだ賃上げをするかしないかのみで、具体的な金額までは提示されておりません。
また、諸要求について各支部の代表意見を共有します。
11月中~12月中旬:春闘基本方針に対する組合員から意見集約
提示された春闘基本方針に対し、組合員から再度意見集約を行います。
このタイミングで重要なことは、組合全体で賃上げ要求などに対する方向性の意思統一をすることです。
まず覆ることはないですが、賃上げ要求するなら「皆で取りに行くぞ!」という感じで…そこまで熱い組合員さんいませんけどね(;´・ω・)
12月中旬:第3回賃金協約部会
各支部での意思統一が図れたら、第3回の賃金協約部会が開催されます。
このタイミングでは、各支部で春闘基本方針に対する同意形成が図れたことを確認したのち、
本部が準備した春闘要求案の内容とその背景を確認し賃金協約部内での同意形成を図ります。
この時点で春闘要求案のベースが完成し、賃金改善額や諸要求案が本部から支部に共有されます。
賃金要求額については、各支部の意向が合わさった形となるのでそこまで揉めませんが、
諸要求については採用される支部と採用されなかった支部とがあるため、納得するまで時間が掛かることが多いです(; ・`д・´)
12月下旬:中央執行委員会
賃金協約部会で春闘要求案の同意形成が図れたら、次は各支部3役(支部長、書記長、書記次長)までが出席する中央執行委員会で春闘要求案について議論されます。
すでに書記長は内容を把握しており、3役間はある程度情報共有されているため、揉めることもあまりありません。
12月下旬:合同執行委員会
中央執行委員会で同意形成が図れたら、次は合同執行委員会で同意形成を図ります。
合同執行委員会というのは、各支部の執行委員までが出席する会合になります。
事前の情報は3役ほど共有されていないことや、本部の意向に反発する方も多く、会合はいつも長引くことが多いです(;´・ω・)
この会合が終了した直後、再度中央執行委員会が開催され、合同執行委員会での意見を反映させた最終版の春闘要求案が完成します。
1月中~下旬:職場説明会
最終版の春闘要求案が各組合員へ配布されたのち、全組合員を対象に職場説明会が開催されます。
職場説明会は、face to face (直接対話)であったり、オンラインで大人数を相手に開催するなど様々です…が、最近は興味ない方も多く、参加率が低いです(´;ω;`)
説明会が一通り完了したのち再度意見集約を行い、支部として春闘要求案に賛成することを確認します。
ここで反発意見があってもなんとか納得してもらうのも支部役員の仕事(; ・`д・´)汗
2月上旬:中央委員会
春闘要求案に対する最後の決議です。
各支部の評議員から選任される中央委員が集まり、春闘要求案に対する賛成決議を取ります。
原則全員一致なので、一人でも反対がいれば会場がザワつきます。
ここまでが春闘要求案ができるまでとなります。
約4ヵ月も掛かるんですよ!大変でしょ!(; ・`д・´)
2月中旬~:団体交渉(会社との交渉開始)
会社と団体交渉が開始されます。
交渉自体は本部が主体となり、支部からは支部長が参加します。
交渉の進捗は本部よりニュースにて組合員に向けて発信されます。
3月中旬:拡大交渉(会社との交渉2回目)
これはよくわかりませんが、交渉2回目は拡大交渉と呼ばれます。
大体はここで、前回の交渉結果から会社としての回答が出てきます。
これでも決まらなければ第3回開催となりますが、時間切れで見送られる可能性もあります。
春闘は春!ですからね。
組合員へは、回答速報という形でニュースが発行されます。
3月下旬:春闘収束(交渉終了)
基本3月終わりには春闘交渉が終了し、本部より春闘収束方針というニュースを発行、
会社の回答に納得し、これにて春闘は収束したことを報告します。
まとめ:春闘は大変!でも大切!
今回は春闘の流れを詳しく解説させて頂きました。
あくまで私の労働組合を一例として紹介させて頂きましたが、一般的にはもう少し遅い時期からスタートすると思います。
春闘は実はこんなに時間と労力が掛かっていることがお分かりになられたかと思います!
また、春闘については以下の記事でもまとめています。是非合わせてお読みください!
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