労働組合は時代遅れだって聞くけど、ホントのところはどうなの?
それとも必要なの?
こんな疑問にお答えします。
✅本記事の内容
- 労働組合が時代遅れと言われる理由
- 労働組合が必要と考える理由
✅本記事の信頼性
当記事における各種統計情報などは以下のものを参考にさせて頂いております。
私の労組はプライム上場の企業別労組ですが、そこからわかることも交えてお話ししますね!
目次
労働組合は時代遅れか、それとも必要不可欠か?
労働組合は時代遅れ!古い!不要!
と特に言われ出したのは、ここ数十年ぐらいでしょうか。
職場での働き方やコミュニケーションの取り方も大きく変わってきており、ざっと思いつくだけでも以下のようなものがあるかと思います。
お酒苦手だから、ソフトドリンクOKは助かってるよ
私が新入社員の時はまだ無理やり飲ませたり、一気も当たり前でしたからね
時代の変化に合わせて労働組合の組織率(組合員数/労働者数)も右肩下がりになっており、1989年には25%あった組織率も2023年には16.3%にまで低下しています。
組織率が下がっている要因もさまざま考えられますが、現代社会において、特に技術の進化や労働形態の多様化が進む中で、未だ古臭いイメージの労働組合の存在そのものの役割自体が問われることが多くなっています(;´・ω・)
とりあえず、名前だけでも「labor union(レイバーユニオン)」に統一したら古臭いイメージ変わりませんか( *´艸`)
必要?不要?知っておきたい10のポイント
ここからは、労働組合が時代遅れなのか、それとも必要不可欠なのかについて、
知っておきたい10のポイントとして紹介していきます。
労働組合に入るメリット・デメリットとは?では、そもそも労働組合とは何か、入るメリットデメリットに焦点を当てて解説していますので、ぜひ併せてお読みください👇
1. 労働組合の役割の変化
”会社に不満を言う人が減った?”
労働組合は、1980年代後半から1990年代初頭のバブル期までは、「労働条件の改善」や「賃上げ」を要求することを主として活動してきました。
しかし、バブル崩壊後は、経営難に陥る企業が急増し「賃下げ」や「リストラ」が急増したため、労働組合としては「雇用の安定」にシフト、企業体力も低下し、そこからしばらく賃上げを求められない低迷期が続きます。
以下のグラフは連合が集計している賃上げ状況の推移になりますが、バブルが崩壊した1991年頃より急激に賃上げ率が低下、そこから2023年の賃上げ5%まで約30年間ほぼ横ばいの期間が続きました👇
労働組合は賃上げを強く求められないこの低迷期の間に、企業との対立から企業の存続をかけた協調路線に変化し、賃上げを求められない変わりに「労働条件の改善」「福利厚生の充実」などに注力し現在に至ります。
近年はワークライフバランスとして家庭環境の充実も求められるため、休み一つとっても、午前午後年休・時間年休・積立休暇・ライフサポート休暇など、休みやすくなる諸制度も増えました。
こういった働きやすい労働環境となったおかげか、会社に対して不満を言う人の割合も減ったように感じています。
会社に不満もないから、労働組合にも興味ない人が増えているかもしれませんね
有給休暇の付与日数・時効・買取についてでは、上記で上げた年休について解説していますので、ぜひ併せてお読みください!👇
2. 労働組合の基本的な機能
”誰だってお金が欲しい”
労働組合の存在意義として最も言われることは、
「個人で会社に対して意見を言っても相手にされないので、労働者で団結し会社と対等な立場で交渉を行う」
ことに尽きると思います。
2023春闘では約30年ぶりの大幅賃上げとなり、2024春闘以降もその勢いは続いていますよね。
こればかりは、春闘という労使間交渉における成果になりますし、賃上げに限らず、対会社として要求するなら、労働組合は有効な手段であることは変わらないと思います。
労働組合は国の法律で認められた権利なので、有効に使いましょう!
労働三権とは?意味について詳しく解説!では、労働組合の根本である労働三権について解説していますので、ぜひ併せてお読みください👇
3. 現代の労働環境の変化
”顔を合わせる機会が減った”
労働組合は”face to face”(面と向かい合う)を大事にしています。
直接顔を見て話すと、電話やメールじゃ気付かない変化に気付くこともできるかもしれませんよね。
コロナ禍でテレワークも普及し、遠く離れた人とも気軽に顔を見ながら打ち合わせすることもできるようになりましたが、同じ敷地内にいるのにwebで話すこともしばしば・・
今の時代に合わせた労働組合の活動を、しっかり見直していく必要がありますね
4. コロナ禍による変化
”労働組合にとって活動を見つめ直す良い機会となった”
2020年3月にパンデミックが宣言されてから、2023年5月に5類に引き下げるまでの約3年間、労働組合にとってはガマンと活動を見直す機会となりました。
ソーシャルディスタンスで人に近づくこともできず、基本マスク姿なので顔もよくわからず、大勢で集まることもできない状況において、会社における一番の被害者は2020年から2022年の3年間に入社された新入社員の方達でした。
この年代の方は、歓迎会や交流を深められる会社行事にも参加できず、誰も知らない状態で皆がマスクをしているため、入社後もずっと素顔を知らないまま過ごす方も多くいました。
コロナ禍が明けてからは、だんだんと組合活動が活性化し、社内の交流イベントも少しずつ行えるようになったことで、「楽しかった!」「また参加したい!」という声も聞くことができました!
組合イベントに対し否定的な意見はずっとありますが、こういった嬉しい声もあることで、今後も続けていきたい気持ちが勝りますね!
以下の記事では、社内イベントの開催方法などを紹介しています。
まだ活動が停滞している労組さんがいれば、ぜひこの機会に活性化してみてはいかがでしょうか?
5. 労働組合の硬直化と官僚化
”労働組合は時代の変化に対応できていない”
企業においては時代の流れに合わせて、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するための部署を創設したり、専門の人員を育てることもありますが、労働組合はどうでしょうか?
日本における労働組合の多くは企業別労働組合となっており、社員の中から組合役員を選任しています。
この役員というのは大抵任期があり、数年経てば人の入れ替わりも多くありますが、委員長クラスになってくると個々にかかる負担も大きく、早々変りもいないのが現状だと思います。
そういった状況の中で、トップは変わらず、部下はコロコロ変わる組織になると、早々に新しいことにチャレンジする余力もなく、古いままの活動が続く原因にもなっていると考えます。
労働組合単独だと、できることにも限界があるので、外部団体や外部組織を頼る必要性も出てきますね
外部組織としては、ご存じの方も多いのが「j.union」さんでしょうか。
j.unionさんでは、組合アプリの開発や経費精算システムのサポートなども行っているため、困ったら相談してみるのもオススメですね!
【社内セミナー】開催準備と運営方法について ”j.unionセミナー”では、私が実際にj.unionさんを経由してセミナーをお願いした際の準備から開催までの流れを解説していますので、ぜひ併せてお読みください👇
6. 転職してキャリアアップ
”転職のハードルが下がった”
前記でも説明したように、労働組合の根幹は「雇用を守る」ことであり、これは「終身雇用」という考えが深く根付いていたこともあります。キャリア形成においても、同じ企業内で長期的にキャリアを積むことがあたり前でした。
しかし現在においては、「エン転職」や「ビズリーチ」といった転職サイトも多く普及したことで転職に対するハードルも下がり、転職してキャリア形成という考え方や、職場に対する不満から「職場内で解決」や「部署移動」というプロセスを飛び越えて、転職を決断することにも度々見受けられるようになりました。
キャリアアップの考え方は人それぞれでよいですが、職場の問題の場合は、まずは労働組合に相談してもらえると幸いです
7. 労働組合への参加意識
”交流イベントより組合費削減しろ!”
意見集約をしていると、こういった意見も目にします。
交流イベントには頑なに参加せず、恩恵は春闘しかないからその分組合費削減しろという意見もありました。組合費は組合員から集めたお金なため、使い方はもちろん気を付ける必要がありますが、上記で話したように交流イベントの必要性も十分あるため、これが無駄なこととは一概にも言えません。
組合の成果をしっかりフィードバックすることで、理解してもらうことも重要ですね!
8. 組合費への抵抗感
”組合費が徴収される”
前項でも少し触れましたが、自動的に組合費が徴収されることに疑問を持っている人も一定数います。
私の労組ではユニオンショップ協定により、平均5千円が給料天引きになっていますね
現在は数百円から手軽に投資などを始めることもできるため、5千円を払うメリットを感じられなければ、投資にその分を回したいと思うのは必然でしょうか。
しっかり意見を聞き、フィードバックすることで、組合費を払ってよかったと思って頂きたいですね。
9. 組合役員になりたくない
”組合イベントに関わると役員に推される”
これはもしかしたら共感できる人もいるのではないでしょうか?
組合活動を行っていくうえで、積極的に組合活動に関わり行動することができる人は重宝されます。
よって、組合イベントに参加すると目を付けられるため頑なに参加しない人が一定数いると考えています。逆に組合側としても、積極的に参加してくれる人には声を掛けたくなりますので、あながち間違いではありません(; ・`д・´)
また、組合活動はその手当(行動費)と活動ボリュームが見合っていないことが、より役員になりたくない状況を作り出していますね。
私は非専従書記長なので、正直作業量と行動費が見合っているとは思えません。
ただ、組合活動で得られるものは多岐に渡るため、それをしっかり伝えていくことも大事ですね!
10. 飲みにケーションは昔?
”飲み会には釣られない”
私が役員になったばかりの頃は、飲みにケーションがまだまだ盛んであり、夜中まで飲むというのも当たり前にありました。(今でもたまにありますが・・(; ・`д・´)
また、何か集まりがあると懇親会でタダ酒が飲めることを売り文句に誘うことも多くありましたが、現在ではこれもあまり通用しなくなっています。
お酒が入ると口が軽くなり会話しやすくなる効果はあると思いますが、苦手な人にとっては苦痛なことには変わりません。今の時代、無理に飲ませることはないと思いますが、ほどほどに活用できればと思います。
まとめ:時代遅れは否めないが、必要な存在だよ!
今回の記事では、労働組合は時代遅れ?必要?というテーマに対し、10のポイントにまとめてご紹介させて頂きました。
あくまでベースは私の労組における考え方のため、これを読んでくれてるあなたの労組とはまた違った部分があるかもしれません。
その際はぜひ、当記事に対してコメント頂けると幸いです。
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